バカがうつる
俺達は産まれた時からずっと一緒だった。
俺達は馬が会っていて、三人共何をするにも一緒だった。
三人で一つのようなものだったというのに。
「今日の晩御飯はスパゲッティにするかな。」
「えー!?魚がいいよ!」
「肉だろ、肉。」
見事にそれぞれ正反対のメニュー。
あの頃の俺達なら全員一致していたのかと思うと頭が地味に痛くなる。
「魚も肉もないから無ー理!それに、どっちかにしたってお前らケンカするだけだろ」
「しないよ~!俺達だって子供じゃないんだからー!」
「おやおや?ヤスヒサ君。こないだ俺が俺のドーナツ勝手に食べたからって殴りかかってきた奴はどこのどいつだぁ?」
ヨシは嫌みったらしく袖を乱暴にまくりあげ、腕にできたアザを見せびらかした。
「そ、それは...」
ヤスがヨシに殴りかかったときのものだろう。
一見クールにやり過ごそうとしているヤスだが、心の乱れが顔に滲みでている。
あの頃の俺達と今の俺達。
どっちが子供なんだか...
はぁ、と溜め息が漏れる。
「だいたいお前、肉食わねーからそんなもやしみてーな体つきなんじゃねーか。そりゃ、女も逃げ」
「あーー!!もうっ!今その話関係ないでしょっ!!」
荒々しく席を立ち上がり、顔を赤らめ頭から湯気が出ているように見えた。
耳まで赤くなっていた。
こうなるとめんどくさい。
いつもの二人のケンカが始まる。
この俺にも止められない。
「キャンキャンキャンキャンうっせーな。反抗期の小型犬かてめーは」
「五月蝿いうるさーいっ!こっちからも言わせてもらうけど、ヨシだって近所の男の子と女の子とばっか遊んでさっ!ロリショタコンって言われても言い訳できないからね!」
ヤスは頬を膨らませて腕組みし、しゃべりながらづかづかとソファーに腰かけているヨシへと近づき、ほぼ真上からヨシを睨んだ。
それに負けじとヨシは立ち上がって至近距離で睨みかえす。
ヨシ自信の威圧で彼が身に付けているマフラーが不気味に揺らいだ。
「聞き捨てならねーな、え?」
ちょっとヤバくないか?この状況...
こんなちょっとしたことでこんなに激怒する二人では無いのに ...ストレスまってんのか...?二人とも...
なんだか逆に心配になる。ここはダメもとでも止めに入った方がいい気がする。
「おい!お前ら!下らないことで意地を張るな!」
そう言いながら二人の間に割って入り、二人を引き剥がす。
なんだか小さな声で「せーの」と聞こえたかと思った瞬間、部屋中にパァン!と凄まじい爆音が響いた。
「っ............は?」
瞬時に閉じた目を開けるとケンカをしていた二人の手にはあのパーティーなので使うクラッカーが握られていた。
「なっ......なんだ...??」
状況が全く把握出来ない。
「「ハッピーバースデーモトハルー!」」
...そういえば今日は俺の誕生...いや、今はこの状況を整理させてくれ!
「あーあ、疲れたー!ちゃんと演技出来てたかな?俺、顔ひきつってなかった?」
「大丈夫。いつもひきつってる。」
「もぉー!ヨシー!ま、練習した甲斐があったなぁー!」
演技?練習?こいつらまさか...
「俺らモトのためにサプライズ考えてたんだよー♪」
「発案者は俺な。」
しらっとした顔で手を挙げる。
「サプライズだって!?いつから!」
「最初っから~♪」
ヤスは気分が良いのかへらへらしている。
それが余計に腹立った。
「お前ら...もっと普通に祝えないのか...」
羞恥心と騙されたという苛立ちで握っている手が震える。
祝ってくれた喜びなどなかった。
「だって普通に祝っても面白くないだろ。」
そしてヨシはこの無表情である。
それがますます俺を苛立たせる。
「結局お前らが楽しめればそれでいいんじゃねーか!!!ったく!バカがうつるっ!!」
照れんなよ〜!と、追いかけてくる2人。
苛立ちと嬉しさと恥ずかしさがごちゃごちゃになっていて、顔も合わせたくなかったから寝室に駆け込むと鍵を閉めてやった。
勢いよくベッドに倒れ込んで布団にくるまり。色々考えると更に頭が痛くなった。
あいつら...覚えとけよっ...!!
そう思う俺だったが、心の底にまだ俺達は仲睦まじい三匹だという喜びもあった。
……ちゃんとお礼、言わなきゃな。
布団の中でため息をひとつついて、今夜の晩御飯を考えた。
今日は肉も魚も使った料理も作ろうかな。
イッシュ御三家、モトハル誕生日小説。
だからといってこの投稿日がモトハルの誕生日というわけでもないんですけどねーーー!!!!!((
最後の文ちゃんとした料理名がいいなって思ってたんですが、
「昔3人みんな好きだった料理にすればいいのでは!?」
と、料理考えていたんですが後付け感半端じゃなかったんで辞めました
文才欲しい