イントラベル

…また、来てしまったようだ。


空間の狭間。夢現がいる所。


だが、どうやってここに落ちたのかが全くわからない。

いつも気づいたらここにいた、という感じなのだ。


(空間の狭間、というし、夢現の名前からみて俺が昼寝してたら絶対的にここに落とされるってこと……なのか??)

考えるのは苦手だ。

でも考えねば。うむむ。


実際ここに落ちて来たのは4回目で、その度に彼女の名前を呼んではみるが、返事はするものの(ただし"いや"とか"無理"の二言のみ)、姿を表してはくれない。

三度目の正直なんて嘘っぱちじゃん。

今回もいつもと同じだろう。

「お~い!いい加減出てきてくれよー!」

広い広いこの空間に自分の声が響く。

「いや、です…」

彼女の小さな小さな声は響かない。

「聞きたいことが山ほどあるんだってばー!いつも言ってんじゃん!」

「そ、それは、別に、声だけでもいいじゃないですか…」

「それじゃ、何か違うんだよなぁ…そんなんじゃないって言うかー…」

ほら、いつもと同じ。

でも、何故だろう。

何故俺はこんなに必死になっているのだろう。

自分の事だからか?

…違う。

俺は自分の事だろうが考えるのが苦手だとか、ごちゃごちゃしたことは性に合わなだとか、そーやって人に押し付けていた。

じゃあ、何故?

どうしてこんなにも彼女の事が気になって気になって仕方がないのか。


(今日は、ちょっと近づいてみるかな。)








はたして、その気持ちが恋心に変わるのはいつになりますかな?←