掟破りの儚い生命

中途半端な所から始まります。

シータさんがラディウスの掟を破っちゃったお話。ifパロです。







「ラディウスの理を忘れたのか」
マルクトーレから放たれる凄まじい魔力と身が竦む様な恐ろしい気で戦慄がはしった。
マルクトーレはぬらりと手をシータにかざすと、ゆっくり上げながらその手を握り締めてゆく。
「…っがはッ…!」
するとシータの体はゆっくりと浮いていき、シータは首元に掴まれた〝何か〟を引きはがそうと苦しみながらも必死にもがいていた。
かざした手をマルクトーレはおろそうとしない。その手はどんどん締まるばかりだ。
「マルクトーレ様!どうか…どうかお許し下さい!」
「掟破りに同情か、パンサーアイ」
向けられたマルクトーレの視線は、それは一瞬で獲物を捉える獣のように自身に突き立った。
それに言葉がつまり息を呑む。じわりと冷や汗が滲みでた。
「失望したぞ」
その視線はシータへと向けられ、気づけばマルクトーレのかざした手も完全に握りしまっていた。
シータはもう衰弱しきっていて、抵抗する気力もなく、あ、あ、とマルクトーレの恐怖に怯えるだけのようだった。
少しでも抵抗すれば自分まで消されてしまう。それはシータの消失より自分の命の方が大事だというわけではない。自分がどう訴えようとも結末は同じだ。
マルクトーレは シータを確実に 抹消する。
パンサーアイは自分のおかれている立場を恨んだ。

シータの虚ろな目がこちらを見た。今にも消えかかりそうな声が自分の名前を呼んだように聞こえた。
その瞬間けたたましい爆発音が轟き、共に周囲が目も眩むような閃光に包まれた。思わず目を瞑る。爆発音は大地に反響し、地響きがしばらく続いた。

地響きがおさまり、ゆっくり瞼を開けた。そこにはシータの姿はなく、マルクトーレだけが静かに佇んていた。

長い沈黙だった。それがシータの消失を彷彿とさせた。シータはもう、この世に存在しない。
するとマルクトーレが沈黙を破るように口を開いた。
「私に、情がないというわけではない」
そう言ってマルクトーレは自身が治める宮殿へと姿を消した。

パンサーアイはその日初めて儚い生命の灯火が消えるのを見た。



できたら続けたいけど深刻なボキャ貧で遅くなりそう…とりあえずifパロ。