小さな人影。

「村長。策が壊れています。」

「む。そうか…直さなければな。」

「俺にお任せを。」


昨晩は嵐が酷かった。

何百年もの間トリガー村を囲っていた木製の策は、流石に今回の嵐には耐えられなかったようだ。

(今までの被害で脆くなっていたのだろう。)

穀は工具を持ってきて一人村の入り口の策を直していた。

幸い壊れていたのは入り口付近だけで、他の策はヒビは入ってはいたがまだ大丈夫そうだ。

(新しい木を使うか?いや、村の木を切り倒すとシャルワールに泣かれるな…)

そんなことを延々と考えていて、前方の人影に気がつかなかった。

「ん?」

気づいた頃にはその人影はもうすぐそばまで来ていた。
見た目は…十代後半位か?
しかしぐずぐずと泣いている姿は十代もいってないと見える。

ここまでたどり着くのには一番近くの町からでも歩いて一日はかかる。
その少年は迷子になったのか衰退しきっていて、今にも倒れそうだ。

その姿を見て穀は持っていた工具を投げ捨て少年の元へと駆け寄った。

「ぁ……おと…さ…エ……レ…ン…」

「!!」

間一髪、倒れそうになった少年を受け止めることができた。

「……おい、しっかりしろ。」

「………………」

少年は受け止められた直後、意識を失い、その身を穀に預けていた。

(一度村長の元に連れていくか。………。これは、モミミールに診てもらった方が良いな。)

穀は軽々と少年を抱えると、工具などを片付けないまま村長の元へと連れて行った。




そして亜寿くんはモミミールに診てもらっている最中に目を冷ます訳です((

若干るーくの小説と繋がっています。←